2022/11/30

業務用プラントベース素材のパイオニア、不二製油に聞く「食の未来」 ~チョコレートからラーメンのスープまで~

weeeat!編集部
業務用プラントベース素材のパイオニア、不二製油に聞く「食の未来」 ~チョコレートからラーメンのスープまで~
写真左より 不二製油株式会社 金子さん、weeeat!編集部 名取

植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4つの事業領域を展開し、さまざまな「食」を支えている不二製油。
1950年に設立したのち1957年から大豆を研究し続け、大豆ミートや豆乳クリーム、豆乳クリームバターなど、プラントベースの新しい素材を生み出しています。まさに、日本のプラントベースフードの先駆者ともいえる不二製油の取り組みについて、市場ソリューション第一開発部原田さん、広報課金子さんにweeeat!編集部がお話を伺いました。

1957年から続けられている大豆研究と、そのきっかけとは

— weeeat!編集部
本日はよろしくお願いいたします! 
まずは、不二製油の事業について教えてください。

— 不二製油 金子さん
1950年に設立した不二製油は、業務用の植物性油脂を扱う企業としてスタートしました。現在の事業は、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材と「食」にまつわる新しい食品素材の開発などを行っています。スイーツ向けの開発にも力を入れており、新しく開発した素材を使ったレシピを日々研究しています。

 weeeat!編集部
不二製油は1957年に大豆の研究を始められたのですよね。研究のきっかけは何ですか。

— 不二製油 金子さん
当時、植物油脂を扱う企業としては後発の為、油の原料となる「大豆」を十分に確保することは難しい状態でした。そこで、油脂の原料は南方系のパームやヤシを選択しました。また、当時はまだ戦後の食糧難が続いており、国民の栄養不足は大きな課題でした。そこで、大豆の油をとった脱脂大豆を有効利用し、新たな販路を見出そうとしたのです。そうした問題を解決できる栄養価の高い食材として、大豆のたんぱくに注目し研究を始めたのがきっかけです。

販売を始めてから暫くは販売に苦戦していた為、社員から「この事業を続ける意義はあるのでしょうか」という声も上がったようです。しかし当時の社長はこのような事を話したと聞いています。
「いつか必ず植物性タンパクが必要とされ、 社会に役立つときがくる。」「君たちの孫の時代にはとても意義のある事かもしれない。だから続けていこう」と。

— weeeat!編集部
そうして培ってきた大豆研究の成果が、今注目されているのですね。不二製油が取り扱う大豆製品にはどのようなものがありますか?

— 不二製油 金子さん
大豆ミートが主力の商品で、70種類以上あります。食感、色味、サイズや形状など、料理や用途に合わせて様々な種類を製造しています。

— weeeat!編集部
大豆ミートが70種類も! 大豆と長年向き合ってきた不二製油だからこそ、豊富な種類を生み出せるのですね。

— 不二製油 金子さん
大豆ミートの他にも、豆乳のクリーム、低脂肪豆乳で作った豆乳チーズ、とんこつ風の植物性だしなど。ゆくゆくは、フルコースをプラントベースフードで楽しんでいただけるような、様々な商品開発を進めています。

— weeeat!編集部
プラントベースのお出汁気になります! 実際に食べられる店舗はありますか?

— 不二製油 金子さん
一風堂様が販売しているプラントベースのラーメンのスープは、一風堂様と不二製油が共同開発しました。不二製油が持つ技術を駆使した、豆乳ベースのコクがあるスープを味わうことができます。

大豆本来の美味しさを引き出すプラントベース製菓原料の開発

— weeeat!編集部
不二製油は「業務用チョコレート」や「ホイップクリーム」など製菓製パン原料も作っていますよね。

— 不二製油 原田さん
はい、プラントベースの製菓原料も開発しています。不二製油は原料の提供だけではなく、レシピの開発を行い使い方の提案をしています。

— weeeat!編集部
原料やレシピの開発で工夫されているところはありますか?

— 不二製油 原田さん
プラントベースで作った原料は、どうしても牛乳を使った生クリームやバターの「代用品」として捉えられてしまいがちです。大豆を研究し美味しさを知り尽くしている不二製油は、大豆本来の美味しさを活かすことも念頭において商品開発を行っています。
バターにはバターの美味しさがあるように、豆乳クリームバターには豆乳クリームバターならではの美味しさがあります。代替品としてだけではなく、「美味しいものを選んだらプラントベースフードだった」と思ってもらえるように取り組んでいます。

— weeeat!編集部
業務用での販売がメインと聞いておりますが、小売販売はされているのですか?

— 不二製油 原田さん
現在は、製菓原料の通信販売サイト「cotta(※)」さまで、豆乳クリームバター、豆乳のチーズ等の一部商品を販売しています。その背景には、「お客さまの生の声をお聞きしたい」という想いがあるからなんです。新しい原料の使い心地や改善点など、実際に使った方の声を反映していきたいです。

(※)「cotta」…製菓原料の通信販売サイト https://www.cotta.jp/

「代替品」ではない新しい食品としてのプラントベースフードを目指して

— weeeat!編集部
最後に、プラントベースフード事業の今後の展望をお聞かせください。

― 不二製油 原田さん
スイーツは「心の栄養」となるものだと考えていて、アレルギーや宗教上の理由から乳製品や卵などを楽しめない方々にも、同じ喜びを味わってもらいです。植物性素材を使って多様なニーズに合わせた、新しい美味しさをご提案していきたいですね。

― 不二製油 金子さん
不二製油グループでは、2030年の新ビジョンとして、「植物性素材でおいしさと健康を追求しサステナブルな食の未来を共創します」と掲げています。
創業当時から植物性の原材料に注目した製品開発を続けており、例えば「植物性素材で作るフルコース料理」など新しい料理や価値に繋がっていければと思っています。「新しい美味しい食べ物」と捉えてもらえるように製品開発を進めてまいります。

weeeat!編集部
weeeat!編集部は、私たちの大切な「食」を中心に、人と地球にやさしい情報を発信していきます。 “地球にやさしい取り組み”を共感・実践する仲間とともに、サステナブルな社会と文化を目指します。

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