2023/02/22

世界の発酵が下北沢に集合! 「発酵デパートメント」がつなぐ発酵文化のバトン

weeeat!編集部
世界の発酵が下北沢に集合! 「発酵デパートメント」がつなぐ発酵文化のバトン

「世界の発酵みんな集まれ! 」を合言葉に、各地のさまざまな発酵食品・食材・調味料を取り揃える「発酵デパートメント」。醸造家が作ったこだわりの醤油・味噌から、その土地にしかない漬物やお酒など、発酵にまつわる商品を幅広く取り扱っています。今回は、日本中・世界中の発酵ラバーが訪れる東京・下北沢の店舗にお邪魔し 、「発酵」の魅力について伺いました。
さらに後半では、weeeat!編集部による「ごど丼」の実食レポートもご紹介します!

目指すのは、醸造家と人・暮らしをつなぐ店づくり

―weeeat!編集部
「発酵デパートメント」は、2020年4月に発酵デザイナーの小倉ヒラクさんがオープンされたお店だと聞きました。どのようなコンセプトのお店なんですか?

―福島さん
「発酵デパートメント」は、「世界の発酵みんな集まれ!」をコンセプトに、世界各地のユニークな発酵食品・食材やお酒など、発酵のことならなんでも揃うデパートメントです。もともと、オーナーで発酵デザイナーの小倉ヒラクが日本全国47都道府県を回り、各地の醸造家や蔵への取材を通して出会った発酵食品を紹介するイベントを開催したことが始まりで、下北沢にお店を出すことになりました。

―weeeat!編集部
店内の商品を見ていると、「ごど」「食べる糠さば おかずなぬか」といった聞いたことのない商品ばかりで、発見の連続です。実際に現地まで足を運ばれているんですね。

―福島さん
なかなか真似できないですよね。小倉の行動力には私たちも驚かされるばかりです(笑)。醤油や味噌といった暮らしに身近な発酵調味料も取り扱っていますが、基本的には小倉が現地へ足を運び、その地域で営む醸造家の想いやこだわり、食べ方を伺った上で美味しい・面白い発酵食品を紹介しています。

―weeeat!編集部
発酵食品は古くから受け継がれ、日本の伝統的な食文化としても親しまれています。最近、発酵食品ブームから、発酵食品を取り扱うレストランやショップも増えていますが、他のお店との違いはなんでしょうか?

―福島さん
「発酵デパートメント」は発酵文化を継承し、未来に発展させていくための運動体としての場所です。確かに、発酵食品を取り扱うセレクトショップは増えていますが、私たちは醸造家が受け継いできた素晴らしい発酵文化を守るため、その土地に根付く発酵食品をより多くの人に知っていただくためのお店づくりを目指しています。醸造家と人・暮らしをつなぐ「ハブ」として、発酵文化のバトンをつないでいくことで、日々の食生活が豊かになると信じています。

発酵食品の魅力は「身体の素直な声」を聞けること

―weeeat!編集部
「発酵デパートメント」にはどのようなお客様がいらっしゃるのですか?

―福島さん
20代から80代の方まで、幅広い世代の方にご利用いただいています。気に入った調味料を見つけて何度も足を運んでくださる近所の方もいれば、「ごど丼」を目あてに遠方から訪れる方もいます。最近は、ポッドキャストでの情報発信を通じて、フランスやデンマーク、スウェーデンなど、海外から訪れる方も増えています。

―weeeat!編集部
確かに、チーズやチョコレートなど、発酵食品は世界中で幅広く親しまれていますね。

―福島さん
そうですね。その土地その土地で「菌」を育てているというのは面白いですよね。同じ菌でも、国や地域によって使い方もさまざまで、日本のお漬物のようなものが、世界ではまた違った形で食されています。地域や気候などの自然と向き合った結果、生まれたのが発酵食品だとすると、食に対する好奇心や知恵は世界共通なのかもしれませんね。

―weeeat!編集部
発酵食品の魅力とは、どういったところにあるとお考えですか。

―福島さん
お味噌汁、お漬物、チーズ、パン……普段から意識することは多くありませんが、少し目を向けると、私たちの日常には発酵食品があふれていることがわかります。そう考えると、発酵食品と私たちの暮らしとは、切っても切れない関係にあると思います。

菌は生きもの。どんなに注意していても、うまく発酵しない時もあります。私たちがどうすることもできない自然や生物と向き合うことの難しさはありますが、取り入れることで身体の素直な声を聞けるというのも、発酵食品の魅力ではないでしょうか。

―weeeat!編集部
お肉やお魚などの食材に麹を塗ると、食材も反応します。新しいものが生まれるワクワク感も「発酵」の魅力なのかもしれませんね。最後に「発酵デパートメント」の今後の展望について教えてください。

―福島さん
最近は、発酵をテーマにしたワークショップを開催したり、現地の醸造家や酒蔵を訪ねる「発酵ツーリズム」を開催したりと、より多くの方に発酵の魅力を知ってもらい、暮らしと発酵を近づける活動に力を入れています。また、店頭では各地の発酵食品を取り扱うだけでなく、日本酒やワイン、黒麹甘酒などのオリジナル商品も開発しています。今後もさまざまな商品を開発し、品揃えを充実させながら、より多くの方に新しい発見を届けていきたいです。

実食リポート:知る人ぞ知る青森発祥の発酵食「ごど」をいただきました!

下北沢駅南西口から徒歩3~4分ほどに位置する商業施設「BONUS TRACK」。その入口近く、2階建ての中央棟の1階に発酵デパートメントはあります。下北沢を訪れるのはかれこれ10年ぶり。再開発が進み街並みも変わりつつあると聞いてはいましたが、駅に降り立つと度肝を抜かれました。

「ここは……本当に下北沢ですか??」と、うっかり独り言が出そうなくらい、おしゃれタウンへの変貌ぶりにびっくり。

南西口から整備された歩道を進み、公園を通ると見えてきました! これまたおしゃれな商業施設「BONUS TRACK」。カフェにレストランにギャラリーまで。たくさんの魅力的なお店が集合しています。

「発酵デパートメントはいずこに……」と思いながら歩いていると、ありました! ロゴが描かれている提灯が目印です。
店内に入ると、飲食コーナーがあり、奥には物販コーナーが広がっています。飲食コーナーには、全国から選び抜かれたお酒や、発酵にまつわる書籍がずらり。天井が高くてなんとも開放的な空間です。

さて、何をいただこうかとメニューを眺めながら数分。
「すべて美味しそうで決められない! 私の胃袋が特大だったらいいのに!(結構デカいくせに)」と自分では決め切れず、お店の方におすすめを伺いました。

「こちらのごど丼は、『ごど』という青森で生まれた食材を使っています。納豆を麹で発酵させたものですよ」と詳細を教えてくださいました。

「え、納豆ってすでに発酵したものなのに、また発酵させるの!?」と私の想像力が限界を迎えたので、ごど丼を注文することに。百聞は一見に如かず、です。
さらに発酵デパートメント名物の「山吹コーラ」もお願いしました。

ごど丼を待つ間に、まずは山吹コーラ!
「三ツ判 山吹」という酒粕でつくられた赤酢と、スパイスが数種類ブレンドされているという山吹コーラ。後味に感じられるすっきりとしたお酢の風味と、添えられているレモンの爽やかさがとても美味しい。青春って感じ。キュンキュンする。

ぐびぐび飲んでいると来ました、ごど丼!
彩り鮮やかで、とても美味しそう。そして、よく見ると納豆らしきものが!
「三五八」(※1)につけた鶏ひき肉、「心の酢」(※2)を使った根菜の甘酢漬けを乗せ、「唐三」(※3)を使ったタレをかけた、まさに発酵づくしな一品です。

1「三五八」:福島県、山形県、秋田県の郷土料理。一般的には漬床に塩・米麹・米をそれぞれ3:5:8の割合で使うことに由来する。発酵デパートメントで販売されている「三五八」は、製造会社こだわりの配合で、塩・米・米麴を3:5:8と米麴が多いのが特徴。
2「心の酢」:山梨県都留市にある戸塚醸造店が作る天然醸造純米酢。食品添加物を使ったり、人工的に発酵を早めたりすることは一切せず、“自然な味”“自然な香り”にこだわった商品。
3「唐三」:株式会社 奥但馬が製造販売する唐辛子発酵調味料。兵庫県北部小代村で特別栽培される「天空の唐辛子」と、地元の美方米から作る米糀、地場の醤油を3年以上発酵熟成させた万能タレ。

「さてさて、『ごど』のお味はこれいかに……。あ、すっぱい!! 」一口食べると納豆の風味が広がり、パンチのある酸味がツーンと来る。これは初めて味です。そのまま食べるもよし、半熟卵でマイルドにするのもよし、添えられている「かんずり」でピリ辛にするのもよし。色々な味を楽しむことが出来ます。
酸っぱい物好きな私は、すっかり「ごど」の虜に。

元々「ごど」は、各家庭で納豆を作る過程で出てしまう「糸を引かない、納豆になり切れなかった納豆」をどうにか食べられるようにできないか、と考えて生まれたそう。美味しい上にフードロス削減にも貢献するなんて、先人の知恵は素晴らしいです。

発酵の歴史と奥深さを感じられる一品でした。いや~、発酵って本当にいいもんですね。その他のメニューも気になるので改めて来たいと思います。皆さんも是非、食べてみてください!

店舗情報・商品入手先

店舗名:発酵デパートメント

住所:〒153-0033 東京都世田谷区代田2-36-15 メインテナント1

営業時間
<  物 販  >平日・土日祝11:00-20:00 / 金11:00-21:00
<レストラン>平日11:00-18:00 / 金11:00-21:00 / 土日祝 11:00-19:00

発酵デパートメントの商品は公式通販サイトで購入することができます。営業時間などの最新情報はInstagramをご覧ください。

通販サイト:https://hakko-department.com/collections/all
Instagram:
https://www.instagram.com/hakko_department.shimokitazawa/
https://www.instagram.com/hakko.department/

weeeat!編集部
weeeat!編集部は、私たちの大切な「食」を中心に、人と地球にやさしい情報を発信していきます。 “地球にやさしい取り組み”を共感・実践する仲間とともに、サステナブルな社会と文化を目指します。

Share

あわせて読みたい記事

    Topへ