2023/03/08

秋田発、世界へ! 透明なノンアル甘酒「KOJI CLEAR」がつなぐ蔵元の技

weeeat!編集部
秋田発、世界へ! 透明なノンアル甘酒「KOJI CLEAR」がつなぐ蔵元の技

“飲む点滴”とも言われる甘酒の伝統的な製法を進化させ、フルーツのような爽やかな酸味の中に、上品な甘さが感じられるクリアな味わいが特徴の「KOJI CLEAR」。甘酒と同じ麹を原料としながらも、まったく新しいノンアル発酵ドリンクとして注目されています。今回は「KOJI CLEAR」の開発者でもあり、同商品を発信する株式会社エスの代表取締役 秋元衆平さんに、ドリンクの誕生秘話と商品に込めたこだわりについて伺いました。

地元秋田の糀・米・水で作った新感覚のノンアルコール飲料

―weeeat!編集部

秋元さんのご実家は秋田県大仙市にある酒屋さんと伺いました。秋元さん自身も「お酒」を軸にしたキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

―秋元さん

実家が秋田県の酒屋「アキモト酒店」で、幼少期から日本酒を中心に農業や酒蔵に親しんできましたが、実はそんなにお酒が飲めないんですよね(笑)。大学卒業後ロンドンへの留学を経験し、帰国後にPRエージェントに勤めました。そこでは外資系大手飲料メーカーを中心に幅広い分野のPR、マーケティングを担当し、2020年からは月面開発スタートアップの立ち上げにも加わっています。

―weeeat!編集部

月面開発!スケールの大きさに戸惑ってしまうのですが、そんな秋元さんがなぜ「「KOJI CLEAR」」を開発しようと思ったのでしょうか。

―秋元さん

はい。PR会社ではエナジードリンクのPR、マーケティングに携わっていました。体が元気になるというのが売りの飲料で、今も多くの方が口にされていますが、人工的ではなく自然で、素材本来の美味しさが楽しめる飲み物を作れないかと思っていたんです。日本ではアルコールの製造量や販売量が落ち込み、世界でもアルコールを飲まない人たちが増えていますね。これからは体に負担のない、ノンアルコール飲料の時代が訪れると確信しています。

―weeeat!編集部

アルコール消費量の推移をみると、90年代後半をピークに減少傾向にありますね。中でも清酒(日本酒)の消費量は大きく減っています。

―秋元さん

そうですね。若い世代ほど飲み会の文化が薄れていっていますし、好きなお酒を楽しむ程度に飲むというスタイルが主流になっています。日本酒はアルコール度数の高さから敬遠されているのかもしれません。

酒類販売数量の推移|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
画像出典:酒類販売数量の推移|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-001.html

―weeeat!編集部

ひと言で「ノンアルコール飲料」と言っても、その種類は様々です。「KOJI CLEAR」は秋田県の糀を使った発酵飲料ですが、やはり秋元さんのルーツとも関わっているのでしょうか。

―秋元さん

はい。秋田県は全国有数の米どころとして知られ、清酒の出荷量、酒米生産量でも突出しています。先述のようにこのままアルコール(日本酒)が飲まれなくなっていくと、実家のような酒屋はもちろん、酒蔵や農家も立ち行かなくなり、地域に根付いた発酵文化や酒造りの技術が失われかねません。地元秋田の糀・米・水を使い、秋田の蔵元で造ったノンアルコール飲料を県外・世界で販売することで秋田の産業を守っていけるのではないかと考え、「KOJI CLEAR」の開発を始めました。

糀なのにさわやか!フルーツジュース感覚で楽しめる「KOJI CLEAR」の特徴

糀・米・水を原料としたノンアルコール飲料といえば、「甘酒」が有名です。「KOJI CLEAR」は甘酒の製法を進化させ、従来の甘酒とは全く違う、クリアで糖度をおさえた新しいノンアルコールドリンク。甘酒の粒感や白濁感が苦手な方、アルコールが飲めない方でも、フルーツジュース感覚で楽しむことができます。

□自然由来の原料だけを使用したヴィーガン認証取得ドリンク

「KOJI CLEAR」の原料は、糀、米、水だけというシンプルな自然由来の原料だけを使用。保存料や添加物は一切使用していないことから、イギリスのThe Vegan Societyの基準を満たした「ヴィーガン認証」を取得しています。小さなお子さまはもちろん、ヴィーガンの方でも安心して楽しむことができます。

□成分は甘酒、味わいはすっきりフルーティー! 新感覚のコージドリンク

「KOJI CLEAR」は、“飲む点滴”とも言われる甘酒の製法を発展させて作られた発酵飲料。糀を原材料としながら、従来の米粒が入った白濁した甘酒とは異なり、透明な液体で糖度も控えめです。フルーツのようなさわやかな酸味の中に、上品な甘さが感じられて、朝食の代わりに、また食事のペアリングドリンクとしてもおすすめです。

KOJI CLEAR

2023年1月には、アメリカ・ラスベガスで開催されたアメリカ最大級の食の見本市「The Winter Fancy Show 2023」にも単独で参加した「KOJI CLEAR」。現地での注目度は高く、すでにオランダ、台湾、韓国、中国、シンガポールの企業からも問い合わせがきているのだとか。秋田の糀・米・水を用いて秋田の蔵元で造り、その土地にしかない資源や環境だからこそ生まれる価値を大切にしながら、販路を海外にまで広げる「KOJI CLEAR」の今後の展開が楽しみです。

粒感や白濁が苦手な方でも安心!「KOJI CLEAR」に込めたこだわり

―weeeat!編集部

「糀ドリンク」と言うと、従来の甘酒のように白濁したものをイメージしてしまうのですが、甘酒と違って透明にした理由はなんでしょうか?

―秋元さん

確かに甘酒は栄養価が高く、自然由来の糀を原材料としているため、その可能性については感じていました。ただし、甘酒は季節感や飲用シーンが限定されているのと、商品名に「酒」が入っていて、妊婦の方や小さなお子さまが口にできない飲み物と誤認されがちです。その固定化された甘酒のイメージから脱却したいという思いが前提としてありました。

そこで、従来の甘酒が持つ粒感や白濁感、甘さを完全にクリアにした透明な飲料にするというアイデアにたどり着きました。欧米では粒が入った飲み物、どろっとした飲み物はあまり好まれず、甘酒を海外に輸出しているメーカーも課題に感じているところです。クリアにすることで、清涼飲料水のように気軽に飲んでいただけるのではないかと仮説を立てました。

―weeeat!編集部

私たちも「KOJI CLEAR」を試飲させていただきましたが、粒感が苦手な者も「飲みやすい」と好評でした。また、「KOJI CLEAR」の魅力を語る上で、おしゃれな瓶のパッケージも欠かせませんね。どのようなこだわりがあったのでしょうか。

―秋元さん

ありがとうございます。容器の選定やデザインには時間をかけてこだわりました。私が素人だったのもありますが、飲料を開発する上で容器選びは重要なポイントでした。1本あたりのコストとデザイン性に加えて、加熱殺菌に耐えられる容器にしなければなりません。それらのバランスを取るのが大変でした。

―weeeat!編集部

フィルムラベルに印刷されたペットボトルはよく見かけますが、「KOJI CLEAR」は瓶に直接印刷されていますね。

―秋元さん

そうですね。フィルムや紙で印刷する方法は確かにコストも抑えられて、取り回しもしやすいのですが、デザインのクオリティが下がってしまいます。また、ペットボトルも考えなかった訳ではありませんが、昨今の地球環境保護の観点から、またコストの観点から除外しました。「KOJI CLEAR」ならではの個性的なデザインを追求し、容器の選定をおこなった上で、加熱殺菌の条件を満たす容器を探すという進め方をしたので苦労しました。

―weeeat!編集部

「KOJI CLEAR」のパッケージは本当におしゃれで、ギフトにも良さそうです。他にこだわった点や苦労した点があれば教えてください。

―秋元さん

やはり糀菌の選定でしょうか。「KOJI CLEAR」を開発するにあたってイメージしたのは、誰にでも飲みやすく、かつ美味しいもの。一口で「糀」と言ってもその種類は様々で、それぞれ違う個性を持っています。そこで自分で甘酒・発酵キットを購入し、糀の種類と水の分量の組み合わせを一つひとつ検証しながら、200以上の試作品を作りました。最終的にたどり着いたのが、秋田県が特許を持つ吟醸酒用麹菌から生まれる“あめこうじ”(CK33菌)と、焼酎などに使われる酸味を持った“白糀”(AOK1598菌)の2種類。これらを組み合わせることで、白く、雑味の少ない甘さの中にさわやかな酸味が残る味わいになります。糀・米・水のシンプルな原材料で作られるからこそ、とことん突き詰めて考えました。

朝も夜も。シーンを選ばず食卓を華やかにしてくれるノンアル飲料

―weeeat!編集部

「甘酒は飲むシーンが限定される」というお話でしたが、「KOJI CLEAR」を飲むシーンやおすすめの飲み方があれば教えてください。

―秋元さん

清涼飲料水のようにいつでも気軽に飲んでいただきたいのですが、一番は朝。「KOJI CLEAR」にはブドウ糖、ビタミンB6、オリゴ糖、クエン酸などの栄養成分が含まれており、糀の働きによって素早く吸収することができます。朝に飲んでいただくと、ブドウ糖の働きで目が覚めやすくなるでしょう。

―weeeat!編集部

フルーティーな酸味も感じられるので、朝はぴったりですね。

―秋元さん

もちろんストレートやロックで飲んでいただいても美味しいのですが、スムージーや他のフルーツジュースに混ぜたり、温めてホットレモンのようにしたりすることもできます。20歳以上の方であれば、日本酒や焼酎、ジンなどのアルコールで割って、カクテルのように楽しむのもおすすめです。糀の風味が引き立つので、ぜひ試していただきたいです。

―weeeat!編集部

ありがとうございます。朝食の代わりに、食事と一緒になど、食卓のいろんなシーンで活躍してくれそうですね。

KOJI CLEAR

秋田発世界へ! 「KOJI CLEAR」で作る循環のサイクル

―weeeat!編集部

ここまで「KOJI CLEAR」の開発秘話や、その魅力についてお伺いしてきました。アメリカ・ラスベガスで開催された食の見本市にも参加され、日本だけではなく、世界からも注目されている「KOJI CLEAR」ですが、今後の展望について教えてください。

―秋元さん

日本の糀は世界から注目されており、ニューヨークやロサンゼルスなどの都市部では、糀が日本語の「KOJI」として認知されるなど、これまでにない盛り上がりを見せています。やはり、素材の持つ美味しさを引き出し、味や見た目を変化させるという糀ならではの特徴が現地の人にも響いているのでしょう。

今後は、地域に根ざしたビジネスにすることと、海外での販路を広げることに注力していきたいです。秋田県は周囲を山に囲まれた立地から“陸の孤島”とも言われますが、環境が厳しい土地だけに独自の発酵技術や文化を築いてきました。米や糀といった地域に根ざした文化や歴史を守り、今後必要とされるであろうノンアルコール飲料を販売することで、過去と未来をつなぐ役割を担いたいと考えています。

また、アメリカでの展示会を通じて、ヨーロッパ、アジア圏からの問い合わせが増えました。糀に対するニーズが高まる今、海外への販路構築は重要です。地元秋田で作った「KOJI CLEAR」が世界中で販売され、その利益をまた地域に還元していく。そんな循環のサイクルが作れたらいいですね。

株式会社エス 代表取締役 秋元衆平さん
↑今回取材をさせていただいた株式会社エス 代表取締役 秋元衆平さん
ありがとうございました!

店舗情報・商品入手先

店舗名 株式会社エス

住所 〒019-1701 秋田県大仙市神宮寺字神宮寺162(本店)

株式会社エスの商品は公式通販サイト、販売店で購入することができます。取り扱い店舗ななどの最新情報は通販サイトをご覧ください。

通販サイト:https://www.kojiclear.com

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weeeat!編集部は、私たちの大切な「食」を中心に、人と地球にやさしい情報を発信していきます。 “地球にやさしい取り組み”を共感・実践する仲間とともに、サステナブルな社会と文化を目指します。

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