ハーゲンダッツ開発担当者に聞く、初の植物性ミルクアイス「グリーンクラフト」のヒミツ

「完璧なおいしさをお届けしたい」という創業者の想いから始まったハーゲンダッツのアイスクリーム。ハーゲンダッツならではの、なめらかで濃厚かつクリーミーな味わいは世界中のファンを魅了し、高級アイスクリームブランドとしての圧倒的な地位を確立しています。そのハーゲンダッツから、注目素材・植物性ミルクを使った「GREEN CRAFT(グリーングラフト)」という新シリーズが登場しました。ハーゲンダッツらしい濃厚さはそのままに、豆乳の優しい甘さと軽やかな味わいが特長のアイスです。今回は「GREEN CRAFT」の開発を手がけた、ハーゲンダッツ ジャパン マーケティング本部の福村沙由里さんに、商品化に至った経緯や商品の魅力を伺いました。
ハーゲンダッツ ジャパン初! 豆乳を使ったご褒美アイス
―weeeat!編集部
ハーゲンダッツのラインアップに「GREEN CRAFT」というシリーズが加わりました。商品化に至った経緯を教えてください。
―福村さん
人々の健康に対する意識が高まるとともに、健康食品やドリンク剤などの需要も高まっています。スーパーマーケットやコンビニなどで健康に配慮した商品を見かける機会も多く、以前にも増して私たちの生活に身近な存在になっています。
アイスクリーム業界でも、低糖質・低カロリーやオリゴ糖配合など様々な切り口で身体を気遣うアイスが販売される中で、私たちが着目したのは植物性ミルクでした。開発を始めた2018年当時は、植物性ミルクを使ったアイスが少なかったため、チャンスがあると感じたんです。そこで、牛乳の代わりに国内でなじみ深い豆乳をベースにしたアイスの開発に乗り出しました。
―weeeat!編集部
「植物性ミルク」といってもアーモンドやオーツミルクなどがある中で、日本でなじみ深い豆乳を選んだわけですね。
―福村さん
そうですね。体に良いことを無理なく楽しみたい方、そしてアレルギー等の体質の理由から乳製品を食べられない方でも美味しく食べられるハーゲンダッツを目指しました。
―weeeat!編集部
商品化にあたって、まずは北海道で限定販売を行ったそうですね。
―福村さん
はい。ハーゲンダッツ ジャパンとして豆乳を使ったアイスを販売するのは初めてのことでした。全国販売に先立って、ニーズや反応を探るべく、北海道で限定販売することにしました。北海道では「豆乳プレーン(現在は販売終了)」と「豆乳チョコレート&マカデミア」の2種類のフレーバーを発売しました。
―weeeat!編集部
購入された方の反応はいかがでしたか?
―福村さん
乳にアレルギーをお持ちの方は「『GREEN CRAFT』が販売されたことで、やっとハーゲンダッツが食べられてうれしい」という声をいただきました。また、カロリーを気にしている方からは「これなら罪悪感なく食べられる」という声もいただいています。
―weeeat!編集部
定番商品のミニカップ『バニラ』のカロリーは244kcalに対して、「GREEN CRAFT」のバニラは170kcal。脂質は16.3gに対して5.5gと約3分の1です。ダイエット中でも罪悪感が少ないですね。
―福村さん
そういったお声は多く寄せられています。甘さ自体はミニカップ『バニラ』と大きく変わりませんが、豆乳ベースで乳脂肪分が含まれないため後味もすっきりしています。

ターゲットは「ゆるヘル」な女性
―weeeat!編集部
北海道での限定販売を経て、販売エリアを広げていったのですね。
―福村さん
はい。オンライン販売、1都7県と販売エリアを拡大し、2023年10月10日より全国へ展開しました。北海道での限定販売を行った結果、コンセプトを「心も体も喜ぶ、植物性ミルクでできたご褒美アイス」に設定し、フレーバーは「豆乳バニラ」「豆乳チョコレート&マカデミア」の2種類にしました。
「豆乳バニラ」は優しい豆乳の味わいが楽しめるので、豆乳本来の味わいを楽しみたい方におすすめです。マダガスカル産バニラの甘く豊かな香りが堪能できる贅沢なアイスです。
「豆乳チョコレート&マカデミア」は、本格的なチョコレートの味わいと、香ばしいマカデミアナッツのカリッとした食感が楽しいアイスです。豆乳のクセが少ないため、豆乳になじみのない方でも食べられます。
また、フローラルな風味が特徴のエクアドル産カカオマスを使用したチョコレートアイスに、隠し味としてバニラ香料を加えることで、濃厚で華やかな風味に仕上げました。
GREEN CRAFTのこだわりとして、クリーミーでコクのある豆乳とすっきりした味わいの豆乳をブレンドし、リッチな味わいと軽やかな口どけに仕上げています。
―weeeat!編集部
どちらも美味しそうですね! どのようなライフスタイルの方に食べて欲しいですか?
―福村さん
ストイックに頑張る方というよりは、「体に良いものを楽しみながら取り入れたい」と思っている方に食べていただきたいです。社内では、ゆるくヘルシーな方を「ゆるヘル」と表現しています。「アイスクリームは食べたいけど、ヘルシーなものを選択したい」と考える女性をイメージしています。
ハーゲンダッツの濃厚さの秘密「空気の含有量」
―weeeat!編集部
「GREEN CRAFT」を開発する上で、こだわった点を教えてください。
―福村さん
ハーゲンダッツの創業者ルーベン・マタスは「完璧なおいしさをお届けしたい」という想いで商品開発を行ってきました。定番商品のバニラ、ストロベリー、グリーンティーは、発売してからリニューアルを行っていません。ストロベリーに関していえば、その完成度にこだわるために、イチゴ探しに3年、開発に3年もの歳月を費やしました。
「GREEN CRAFT」も同じ想いで作られています。例えば使用している豆乳です。「GREEN CRAFT」は、2種類の豆乳をオリジナルでブレンドして作っています。クリーミーでコクのある豆乳と、すっきりとした味わいの豆乳をブレンドすることで、ハーゲンダッツらしい濃厚さとクリーミーさと軽やかな味わいを表現しました。
原材料についても、ハーゲンダッツのポリシーである「キッチンフレンドリー」に基づき、家庭のキッチンに置いてあるような、誰でも知っている材料を使いました。
―weeeat!編集部
「キッチンフレンドリー」だからこそ、安心して食べられますね。確かに「GREEN CRAFT」の原材料を見ると、豆乳・粉あめ・砂糖・卵黄・食塩・バニラ香料など、とてもシンプルですね。他にこだわった点はありますか?
―福村さん
「豆乳バニラ」でいえば、砂糖の一部に含蜜糖を使いました。含蜜糖は、グラニュー糖や上白糖と違ってミネラルなどを豊富に含んでいるため、優しい甘味とコクがあります。豆乳独特のクセを抑えるのに役立っています。
また、ハーゲンダッツの商品全般に言えることですが、「空気の含有量」にこだわっています。アイスクリームの種類によって割合は異なりますが、一般的に空気含有量が少ないほどアイスクリームの密度が高くなるので、濃厚でクリーミーな味わいになります。この空気含有量を低く抑え、小さいカップでも食べ応えのある味わいを作り出しています。
―weeeat!編集部
ハーゲンダッツらしい贅沢なイメージが感じられますね! 開発時に苦労された点があれば教えてください。
―福村さん
そうですね。アイスクリームづくりにおいて、牛乳は生命線とも言える重要な役割を果たします。「牛乳を使わずに、いかに美味しい植物性ミルクアイスを作るか」。この点が苦労しました。ハーゲンダッツというブランドを背負ってリリースするからには、ハーゲンダッツらしい濃厚さやクリーミーさが失われては意味がありません。豆乳の配合バランスや卵黄の量など、試行錯誤を重ねました。
―weeeat!編集部
確かに、濃厚さやクリーミーさを求めてハーゲンダッツを買うお客様は多いと思います。他にも苦労された点はありますか?
―福村さん
パッケージの開発です。北海道で限定販売していた時は、ベージュを基調としたクラフト感のあるものを使用していました。販売エリアを1都7県に拡大するにあたり、現在のパッケージにリニューアルしています。
以前は「GREEN CRAFT」の世界観や植物性ミルクアイスの特徴を表現しており、お客様の評価も高かったのです。ただ、いざ店頭に並べてみると存在感が弱く、商品の訴求力を高める必要性を感じました。そこで、「豆乳バニラ」は青、「豆乳チョコレート&マカデミア」は赤と目立つ背景色に変更しました。パッケージの写真も「素材」ではなく、アイスをスクープした状態の「中身」を見せることで、植物性ミルクアイスが初めての方でも手に取りやすいように工夫しました。
―weeeat!編集部
ハーゲンダッツといえば、素材を前面に出したデザインが印象的でしたが、中身が分かるパッケージだと購入者も分かりやすくて良いですね!
「完璧なおいしさをお届けしたい」という想い
―weeeat!編集部
ホームページを拝見していると、ハーゲンダッツのアイスクリームのレシピが掲載されていました。「GREEN CRAFT」を使ったレシピはありますか?
―福村さん
公式にはまだないのですが、「豆乳バニラ」は割とシンプルな味わいですので、きなこをかけたり、小豆を添えたり。エスプレッソをかけてアフォガートのように食べても美味しいと思います。
―weeeat!編集部
美味しそうですね! 2023年10月10日から「GREEN CRAFT」の販売エリアが全国へ拡大されますね。他のフレーバーを心待ちにする方もいらっしゃると思います。今後の展望をお聞かせください。
―福村さん
北海道、オンラインショップ、1都7県での販売を通じて、多くのお客様からご好評をいただきました。他の地域のお客様からも「食べてみたい」との声を多く頂戴し、全国へ拡大することができました。他のフレーバーを楽しみにしてくださる方も多いと思いますので、検討していきたいです。
―weeeat!編集部
世界的に植物性ミルクの需要が高まり、日本においても豆乳を筆頭に市場を広げています。スーパーなどで、アーモンドミルクやオーツミルクの商品を見かけることも増えていますが、他の植物性ミルクを使った商品開発も検討されているのでしょうか?
―福村さん
はい。ゆくゆくは豆乳以外の植物性ミルクにもチャレンジしたいと考えています。「完璧なおいしさを届ける」ために、ハーゲンダッツがずっと守り継いできた“ものづくりのこだわり”を忘れず、開発に携わっていきたいです。
販売メーカー情報・商品入手先
販売メーカー名 ハーゲンダッツ ジャパン株式会社
住所 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目1-1(本社)
全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパート他で購入できます。
公式ホームページ:https://www.haagen-dazs.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/haagendazs_jp/