2024/07/10

デザインの力で地域農家の魅力を伝える“果物×本”の定期便「そのとちぎふと」とは

weeeat!編集部
デザインの力で地域農家の魅力を伝える“果物×本”の定期便「そのとちぎふと」とは

全国各地の果物と一緒に、その地域の情報が詰まった本が届く定期便サービス「そのとちぎふと」。届いた果物を食べる前に農家さんのこだわりや地域の物語を知ることで、2倍美味しく味わえるというユニークなサービスで、地域活性化を図るきっかけづくりとして期待されています。本サービスを手がけるのは、デザイン会社として新しい視点で地域の魅力を発信する株式会社picks design。今回は同社の代表取締役・松浦克彦さんに、実際にサービスを利用する農家さんやお客さまの反応や、人気の果物について伺いました。

その土地の魅力も知れる一石二鳥な果物の定期便

―weeeat!編集部
「そのとちぎふと」は、どのようなサービスでしょうか。

―松浦さん
「そのとちぎふと」は、地域の果物とその果物や地域を特集した「美味しい本」が一緒に届く定期便サービスです。全国各地の生産者に出向き、直接取材をしながら商品の魅力を掘り下げて、それを一冊の本にまとめて届けています。
「美味しい本」には農家さんだけが知る情報や、地域ならではの行事、観光情報などが掲載されているので、果物を食べることで地域とのつながりを感じることができます。

―weeeat!編集部
サイトを拝見しましたが、多くの自治体と連携しているそうですね。

―松浦さん
そうですね。現在では、20を超える自治体と地域連携パートナーを組んで、協力体制を作りながら、「そのとちぎふと」を通じて地域や農家さんの魅力を発信しています。
地域の特産品を通じて、地域の特性や文化を発信していこうとする行政も増えていますが、行政だけで行うには限界もあります。そこで、私たちはデザイン会社の視点から、その地域の魅力を発信するお手伝いをしています。

―weeeat!編集部
地域の果物を食べることで、地域活性化につながりそうですね。
どのような果物を取り扱っているのでしょうか。

―松浦さん
例えば、親指サイズのキウイフルーツがあることをご存じですか?
スーパーなどで見かけることはほとんどなく、専門店などに足を運ばない限り、こうした情報は得られません。私たちが直接地域に足を運び、農家さんから聞いた話をお客さまに知っていただくことで、最終的には地域活性化につながると思います。

―weeeat!編集部
親指サイズのキウイフルーツ!?
スーパーでは出会えないような魅力的な商品が届くのですね。まだまだ知らない果物がたくさんありそうです。

洋ナシ

何が届くか分からない! 偶然の出会いからはじまる食体験

―weeeat!編集部
松浦さんが「そのとちぎふと」を始められたきっかけを教えてください。

―松浦さん
元々自動車部品メーカーでデザイナーをしていましたが、よりお客さまの顔が見えるところで仕事をしたいという想いから退職を決意しました。
その後自治体が開催する地域活性化のプログラムに参加し、数多くの生産者に触れる中で、美味しい味の裏側にはたくさんの苦労があることを知りました。「どうしてこんなに美味しいものが知られていないのだろうか」と不思議に思って話を聞いてみると、発信に困っている現状を目の当たりにしました。
そして、食べ物の背景を発信することで生産者の売上に貢献できるのではないかと考え、「そのとちぎふと」を開発しました。

―weeeat!編集部
どんなに美味しい食べ物でも、その存在が知られていなければ手に取りづらいですよね。

―松浦さん
そうですね。食べてもらったら美味しさがわかるのに、知られていないから食べられていないという食べ物はたくさんあると思います。
「そのとちぎふと」では、どんな地域のどんな果物が届くのかはあえて事前にお伝えしていません。偶然の出会いを通じて、果物を知っていただくとともに、食べていただく機会を提供しています。

―weeeat!編集部
どんな果物が届くのか、ワクワクしますね!
果物の選定基準はあるのでしょうか。

―松浦さん
はい。選定基準は、お客さま目線でもらったらうれしいものや、写真に撮りたいと思うものです。
何が届くのかわからないということは、ある種お客さまの期待を私たちが背負っているということ。その期待を裏切らないよう、「こんな果物があるんだ!」という面白さを追求した商品を提供したいと考えています。

―weeeat!編集部
確かに、珍しい果物が届いたらすぐにSNSにアップしたくなっちゃいます。

会話する人

「知らなかった果物に出会えた」

―weeeat!編集部
実際に農家さんからはどんな反応がありますか。

―松浦さん
そうですね。農家さんからは自分たちの果物や農園はもちろん、周辺地域のことも知ってもらえてうれしいというお声をいただいています。
また、お客さまから寄せられた声は農家さんにも共有しており、そうした反応を楽しみにしている農家さんもたくさんいます。

―weeeat!編集部
農家さんもうれしいですよね。お客さまからはどのようなお声をいただくことが多いですか?

―松浦さん
はい。やはり知らなかった果物に出会えたという声が多いですね。定期便の中には果物の食べ比べセットがあります。例えばみかんだったらデコポンや河内晩柑、ひょうかんを詰め合わせたものもあるので、初めて知ったという方も多いようです。
また、「そのとちぎふと」を久しく連絡を取っていない親御さんへのプレゼントとして購入してくださる方もいます。

―weeeat!編集部
「そのとちぎふと」をきっかけに親子の会話も弾みそうですね。これまでに人気だった商品は何ですか?

―松浦さん
そうですね。長野県上田市・坂城町で採れた「信州りんご三兄弟(秋映・シナノゴールド・シナノスイート)」にりんごバタージャムを一緒に添えたセットが人気でした。
長野県は昼夜の寒暖差が大きく、日照時間が長い県として知られています。太陽をたっぷり浴びた甘さと、爽やかな酸味のバランスが絶妙で、旬の時期に出荷されるりんごの生産量は全国2位を誇っています。

―weeeat!編集部
サイトに掲載されていた商品ですね! 箱に書かれた手書きのメッセージ「3つの個性のくらべ」が印象的でした。
松浦さんは全国各地を訪れていると思いますが、これまでで1番印象に残っている果物はありますか?

―松浦さん
どの果物も美味しいですが、四国最西端の愛媛県西宇和郡で採れたひょうかんはおすすめです。ひと言で「みかん」といってもさまざまな種類のみかんがあり、味はもちろん、色や形も異なります。いろんなバリエーションのみかんを楽しめるので、とても面白いです。

ひょうかん

愛のあるデザインで地域とのつながりを創出

―weeeat!編集部
ありがとうございます。最後に今後の展望についてお聞かせください。

―松浦さん
「そのとちぎふと」はあくまで月ごとのサブスクリションサービスなので、常時販売できる商品単体は多くありません。サブスクリプションに対するハードルを下げるためにも、今後は商品単体の販売にも力を入れていきたいです。

―weeeat!編集部
商品単体の販売は、農家さんもきっとよろこばれますね。

―松浦さん
そうですね。また、私たちはココロを動かすデザイン体験を大切にしています。
例えば、記念日のギフトにオリジナルラッピングを提案したり、オリジナルメッセージの代筆をしたり、果物とともに地域の銘菓を添えたり。デザイン視点で商品・サービスに付加価値をつけることも検討しています。これからも遊び心と愛のあるデザインで、地域とのつながりを創出していきたいですね。

―weeeat!編集部
デザイン体験を加えることで、色々なシーンで活用できそうですね。
今日はありがとうございました!

松浦さん

サービス情報・商品入手先

そのとちぎふと(運営会社:株式会社picks design)
住所:〒453-6190 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12グローバルゲート11

そのとちぎふとは公式通販サイトで購入できます。
公式サイト:https://sonotochigift.com
Instagram:https://www.instagram.com/sonotochigift/

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