2022/05/19

水泳パラリンピアン 一ノ瀬メイさんがヴィーガンとして生きる理由。 自分の健康を整えて、地球も健康に。(前編)

weeeat!編集部
水泳パラリンピアン 一ノ瀬メイさんがヴィーガンとして生きる理由。 自分の健康を整えて、地球も健康に。(前編)

パラアスリートとして、競泳の第一線で活躍していた一ノ瀬メイさん。2021年10月末で現役選手を引退し、今後どのような活動を行っていくのか、水泳を続けるきっかけとなった「障害者差別」に対する思いと、ヴィーガンを通してサスティナブルな未来を目指して発信をつづける「今」の姿を、前編・後編に分けてお届けします。

一ノ瀬メイさんと、ヴィーガンの出会い

9歳から始めた水泳で数々の日本記録を打ち立てた、一ノ瀬メイさん。更なる高みを目指し、拠点をオーストラリアに移して練習を重ねていました。そんな一ノ瀬メイさんが、どのようなきっかけで「プラントベースフード」や「ヴィーガン」と出会ったのかお伺いしました。

 weeeat!編集部

現役選手引退後、現在のご活動について教えてください。

-  一ノ瀬メイさん

以前は水泳を通して「障害を無くして、住みよい社会を作る」ための活動・発信し続けていましたが、202110 月末に現役を引退して、活動拠点を日本に移しこれからは、カテゴリーを問わず「障害を無くして、住みよい社会を作る」ための、活動・発信を続けていきたいと考えています。

先月、オーストラリアで女優として映画の撮影をしました。スポーツの世界だけではなく、他のジャンルでも、色々な身体的特徴がある人が活躍できるきっかけになればとよいなと思っています。

プラントベースフードやヴィーガンを始める前の印象

-  weeeat!編集部

今では、ヴィーガンを実践されているメイさんですが始める前は、どのような印象でしたか?

-  一ノ瀬メイさん

現役時代拠点を置いていたオーストラリアはベジタリアンの方が多く、チームメイトもベジタリアンだったので、自分から遠い存在ではありませんでした。人によってはフェイクミート(代替肉)を食べている方もいました。しかし当時はベジタリアン=菜食主義というイメージが強かったので「ベジタリアンなのになぜ肉を食べたくなるの?」と疑問に思っていました。

コロナ過で変わり始めた気持ち ヴィーガンとの出会い

-  weeeat!編集部

そのような中、ヴィーガン食を取り入れようと考えられたきっかけは何ですか?

-  一ノ瀬メイさん

一番の大きなきっかけは、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の延期でした。パンデミックが始まった頃は、オーストラリアに拠点を置いておりましたが、ロックダウンが始まりプールに入って練習が出来ない日々が続きました。家に籠るだけの状況下で出来る、アスリートとして成長するために必要なことを考え「人間的」に向上をすることが重要だと考えるようになったんです。そんな時に「Cowspiracy:サステイナビリティ(持続可能性)の秘密1」というドキュメンタリー番組に出会いました。
気候変動を起こす要因の1つである「畜産」された肉を食べることでどれくらい環境に負荷を与えているのか、解りやすく説明されていて、大きな衝撃を受けたんです。それをきっかけに12ヶ月かけて、少しずつヴィーガンに移行しました。

実は、ヴィーガンを実践したのは初めてではなく以前も「ゲームチェンジャー スポーツ栄養学の真実2」という番組を見て1度チャレンジしていたのです。その時は、運動能力や自分の健康を改善するつもりで取り組みましたが、栄養士さんに止められてしまいました。しかし今回は実践する理由が違います。環境負荷を減らすためのアクションを考えた場合、大きな変化にはお金も時間もかかりますが「動物性の食品を口にしない」ヴィーガンは、明日からでも始められる手軽な方法でした。
さらに詳しくヴィーガンを学んでいくと「種差別」という言葉に出会いました。生き物の「種類」によって愛玩動物とするか、家畜とするかを「差別」する考え方です。

私が泳ぎ続ける理由の1つに、「差別を無くしたい」という思いがあります。小さい頃から受けてきて、これからも無くしていきたいと訴え続けている「差別」。動物性の食品を口にする事で、自分自身も「差別」の加害者となっていた、という事実は大きな衝撃でした。
"「差別」を無くしたいと訴える自分"と"動物性の食品を口にする事で「種差別」をしている自分"は、矛盾していると感じました。ですから、動物性の食品を口にしないだけでなく、ライフスタイルも可能な限り動物を傷つけない方法を選択しています。

※1:【Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密|Netflixhttps://www.netflix.com/jp/title/80033772
※2:【ゲームチェンジャー: スポーツ栄養学の真実|Netflixhttps://www.netflix.com/jp/title/81157840

ヴィーガンを通して感じた体調の変化

-  weeeat!編集部

アスリートとして肉を断つというのは、大きな決断だったと思います。ヴィーガン食を取り入れることで、体調の変化などはありましたか?

-  一ノ瀬メイさん

個人差があるので一概には言えないですが、本格的にヴィーガンに移行し始めた2020年の春以降の主な変化として、

・ 食事の量を多く食べられるようになった。
・ 落ちにくかった体重がするりと落ちた。
・ 午後激しい練習をしても、吐き気がしなくなった。
・ 疲労回復が早く、筋肉痛になりにくい。

などがありました。

太りやすい体質なので、以前はベスト体重を維持するために、食事の量を減らしておなかいっぱい食べられないストレスがありました。でも同じカロリーでも野菜なら「量」を沢山食べられるので、満足感があり、すぐにお腹がすぐ空くこともありません。一番顕著に変化として現れたのは、疲労回復の早さですね。体感として筋肉痛にもなりにくく、朝起きて「体が重くて起きれない」などと感じることもなくなりました。

ヴィーガンは我慢じゃない

  weeeat!編集部

ヴィーガンの人は「食事制限」や「我慢している」というイメージもありますがメイさんはどうでしょうか?

-  一ノ瀬メイさん

様々な捉え方をされている方がいますが、私自身はヴィーガン食で我慢はしていません。なぜなら「ヴィーガンがもたらす結果を理解」しているからです。

例えば「白砂糖をやめる」ということを理由なく突然始めて、実践し続けるのはとても難しいことだと思います。しかし白砂糖をとった後に起こる、自分自身の体の変化を良く見てほしいんです。ニキビができるな、体の重さがあるな、など小さいけれどよくよく観察してあげると体は反応していて、体の問題が見えてくると思います。

「白砂糖を口にしたら、明日の私しんどいかもしれないけど、どうする?」
こうやって自分との対話を行うことで自分の体を理解して、自分を大切にしてあげてほしいです。

- weeeat!編集部

ありがとうございます。ヴィーガンになられた背景や想い、メイさんが大切にされていることをお伺いできました。次回は「一ノ瀬メイさん流!ヴィーガンのすすめ」メイさんのおすすめ食材や、これからヴィーガンを始めようと思っている方へのメッセージをお届けします!

後編はこちら:『水泳パラリンピアン 一ノ瀬メイさんがヴィーガンとして生きる理由。 自分の健康を整えて、地球も健康に。(後編)』

weeeat!編集部
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