スパイスのプロに聞く【後編】|知っておきたいスパイスの賞味期限と正しい保存方法
古くから世界の料理で使われているスパイス。「調味料」として、味や風味を豊かにし、食品の保存効果を高めるのみならず、「生薬」としても体の調子を整えてくれます。『weeeat!』のプラントベースのレシピでも、様々なスパイスが活躍しています。植物性食材のみのレシピにスパイスを加えることで、味や香りに広がりとアクセントを加えることができます。
もっとスパイスで料理を美味しくしたい!
そんな想いから今回は、スパイスのプロである朝岡スパイス代表の乾野さんと担当の渡部さんにお話しを伺いました。
創業以来、“スパイスの素晴らしさを日本の食卓に"をモットーに世界中から選び抜かれた本物のスパイスだけをお客様にお届けする朝岡スパイス株式会社。これまでスパイス本来の香りや色を生かす製法や高品質で多彩な品揃えを固く守り続けています。今回は、スパイスの賞味期限とスパイスを使い切るアイデア、おすすめのスパイスをご紹介します!
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スパイスのプロに聞く【前編】|まず知っておきたいスパイスの基本と“3つの役割”
キッチンの手に取りやすいところに
―weeeat!編集部
前回は、スパイスの3つの役割と基本的な使い方について、教えていただきました。今回は、スパイスの賞味期限や、スパイスを使い切るアイデアについて伺います。
スパイスは、一度にたくさん使えないので、なかなか使いきれませんことがあります。気づいたら賞味期限切れだったことも。そもそもスパイスの賞味期限ってどれくらいなのですか?
―渡部さん
ホールのものは2~3年、パウダーは1~2年ほどですが、同じスパイスでも各メーカーによって賞味期限設定は異なります。前回お話しした、「香りつけと臭み消し」「辛みつけ」「色つけ」の役割を果たすためには、正しく保管する必要があります。
―weeeat!編集部
どのように保存すればいいのでしょうか?
―渡部さん
スパイスは熱・湿気・光が苦手なのでこれらを避けて保存してください。冷蔵庫に入れる方もいますが、冷やす必要はありません。キッチンの手に取りやすいところやスパイスラックに置くのがオススメです。
―weeeat!編集部
なんとなく冷蔵庫に入れていました。
―乾野さん
冷蔵庫に入れてしまうと、どうしても使う機会が減ってしまいます。すぐ手に取れるところにあれば、料理をしている中でのインスピレーションで様々なスパイスを試すことが出来ます。そうやって使う場面が増えると、フレッシュなうちにスパイスを使い切ることが出来るので、よりスパイスの良さが楽しめますしね。
―weeeat!編集部
確かに、色んな料理に使ってみると、自分なりの発見がありそうですね!それでも残ってしまいそう……という時の、使い切るアイデアはありますか?
残ったスパイスを楽しむアイデア
―渡部さん
例えば、香りの女王「カルダモン」。高価なスパイスのひとつなので、使い切れず残してしまうのは本当にもったいないですよ。休日の朝はコーヒードリップの中にパウダーを少量入れて、カルダモンコーヒーでゆっくりリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
―weeeat!編集部
カルダモンはアップルパイなどのお菓子づくりに使うイメージがあります。カルダモン入りのコーヒーはすっきり飲めそうですね。
―渡部さん
ほかにも、土用の丑のうなぎに山椒。うなぎが庶民の定番メニューなら毎週食べたいですね。そうすれば山椒もいっぱい使います。今となっては年に1回食べる程度?さて、これでは山椒がなかなかなくならないですよね。
―weeeat!編集部
うなぎと山椒の組み合わせ、最高ですよね。ほかに山椒の使い方のおすすめはありますか?
―渡部さん
チョコレートケーキやアイスにかけて食べてみてください。これがなんとマッチするのです!
―weeeat!編集部
意外な組み合わせ! ピリリと甘辛なスイーツ、良いですね。
―渡部さん
スパイスと料理・素材の相性、組み合わせは無限大ですよ! まずは、スパイスの香りなど特性を自分で確認し、色々な料理、素材に果敢に使うことがスパイスを極める第一歩だと思います。
―weeeat!編集部
美味しい組み合わせを見つけていく工程も楽しそう! 意外と普段使いもできそうですね。
色んなスパイスを試したくなってきました。まず買うべきおすすめのスパイスを教えてください。
自分でブレンドを楽しめる「カレー粉セット」
―渡部さん
そうですね。さきほどお話ししたホールスパイスのクミン、カルダモン、コリアンダーはまずは使っていただきたいスパイスです。意外と使い方は簡単なので、是非チャレンジしてみてください。
あと、ポアブルロゼ(ピンクペパー)、ディルウイドがいいですね。ハロウィーン、クリスマス、お正月とこれからイベントが多くなる季節、料理の彩りにピッタリです。チーズ、カルパッチョなどがおもてなし料理にチェンジすること間違いなしです。
―weeeat!編集部
スパイスは見た目も華やかさにしてくれるので、一気におしゃれな料理になりますよね。
―渡部さん
また、朝岡スパイスにはちょっと面白いマニアックな自慢の製品があります。20種類のスパイスでブレンドして自分でカレー粉作りを楽しむ「カレー粉セット」です。
―weeeat!編集部
自分でブレンドするんですね!
―渡部さん
カレー粉は「香り」「辛み」「色」すべての役割を活かしたスパイスの集合体の代表格です。このセットでカレー粉をブレンドすれば、一つひとつのスパイスの味や香りを確かめることもできるし、ブレンドしていく過程での変化も楽しめます。辛みを調節したり、香りのアレンジを変えたりして、自分だけのカレー粉に出来るのも魅力ですね。
―weeeat!編集部
楽しそう! やってみたいです!
―渡部さん
300gのカレー粉なので、100皿分くらいです。保存瓶などに入れて、熟成されていく味の変化を楽しむのもカレー通の醍醐味です。この製品が、「カレー沼」にハマるきっかけになればうれしいですね。
―weeeat!編集部
スパイスが熟成するとは知りませんでした。どのように変化するんですか?
―乾野さん
混ぜたては各スパイスの香りが際立ったカレー粉ですが、しばらく置くと全体が馴染んで、まとまりのある香りのカレー粉になります。
―weeeat!編集部
熟成も楽しみになりますね!
約250種類! こだわりのラインナップ
―weeeat!編集部
朝岡スパイスさんは、とてもこだわって選りすぐりのスパイスを扱っているとお聞きしました。どのようなこだわりをもっているのでしょうか?
―渡部さん
先ほどお話ししましたが、スパイスはすべて天然の植物です。野菜と同じで同じ畑でとれても大きさ、形、色目も違いがあります。当然、産地やその年の気候によっても変わってきます。だから、朝岡スパイスはスパイスを一つひとつ手で選別して、充填し、製品化しています。
―weeeat!編集部
すごい! すべて人の手で選別しているのですね。
―渡部さん
はい。また、「確かな品質を見ていただきたい」という想いから、創業から中身の見える透明な瓶で販売しています。
更に、瓶の蓋に「振りかけ蓋」がついていないのも特徴です。振りかけ蓋があると、ついつい調理の際に鍋などに直接振りかけてしまいますよね。そうすると、湯気が瓶の中に入ってしまいます。スパイスは湿気が嫌いです。「購入後も品質を保って使っていただきたい」との想いから、そのような蓋にしています。
―weeeat!編集部
本当だ! こういった容器の細部までこだわっているんですね。一度に大量に使うものではないので、鮮度や品質を保てるのはうれしいです。
―渡部さん
そして、圧倒的な製品ラインナップもこだわりの一つです。普段馴染みのないスパイスがあったり、簡単に本格的な調理ができるシーズニングがあったりするのが、当社のラインナップの魅力です。
―weeeat!編集部
サイトを拝見しましたが、現在は約250種類のラインナップがあるんですね。種類が豊富すぎて、どれを買ったら良いか迷ってしまいます!
―渡部さん
このようにこだわって作ったスパイスだからこそ、お客様に楽しんで使って欲しいと思っています。そこで、創業当時からこだわって続けているのが、セミナーやイベント活動です。当時と比べると、スパイスを料理に使う人は増えました。ネットでメニュー検索することなどが当たり前になってきています。しかし、スパイスを使用している頻度、種類はまだまだ少ないです。
―weeeat!編集部
セミナーには、編集部のメンバーも参加しました! スパイスを調合するところからカレーを作ったそうで、とても勉強になったそうです。セミナーなどを通して、もっと多くの人にスパイスの魅力を知ってほしいですね。
―乾野さん
スパイスは料理を美味しくするだけでなく、みんなを楽しく、豊かな気持ちにさせることができる魔法のような魅力を秘めています。その魅力を一人でも多くの人に伝えたいと思っています。「スパイスで極める豊かなくらし」が、私たちが掲げる大きな目標です。
―weeeat!編集部
素敵です! 今日お話しを伺って、スパイスを身近に感じることできました。
スパイスを上手く使いこなして料理の幅を広げていきたいです。
ありがとうございました。