【とにかく漬ける山崎】らっきょうを自宅で漬けてみた#1 ~らっきょうの漬け方の種類と栄養効果~
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『weeeat!』編集部のレシピ開発担当、栄養士で発酵マイスターの山崎が、とにかく何かを漬けてみるシリーズ。第1弾では「塩らっきょう」に挑戦しました。カレーのお供としてよく知られるらっきょうの甘酢漬けとの違いや栄養効果について解説します。
とある日のweeeat!コラム企画会議にて。
こんにちは! 『weeeat!』編集部の山崎です。私、少し前までは料理教室で講師を担当していた栄養士です。今は主に『weeeat!』のレシピ開発やコラム制作に携わっています。
「漬けたい。醸したい」
ある日、コラムの企画会議にて上司が突然こんなことを言いだしました。
「漬けたい。何かを漬けたい」
ん? どうしたのかしら。「漬物をしたいんですか?」と聞くと、こんな答えが。
「発酵って素敵じゃん。醸したいじゃん。醸し出したいじゃん」
ああ。確かに最近の編集部では「発酵」がキーワード。パソコンで調べものをする機会が多いため、キーボードで「はっこう」と打つと「発酵」が一発目に出てくる状態。「打合せのURLを発酵しました!」なんて意味不明なチャットが飛び交う始末です。
そんないきさつから、「山崎さん、何か漬けて!」という、会社ではあまり聞かない命令が下りました。
編集部の中で検討を重ねた結果、「変化が見えるものがいい」という意見が多く、旬のらっきょうを漬けた「塩らっきょう」を作ってみることに決定。発酵でブクブクと泡(ガス)が出るらしく、撮れ高が期待できることが決め手になりました。
「簡単漬け」と「本漬け」の違い
らっきょうと言えば、カレーのお供の「甘酢漬け」 がイメージされます。今回作る「塩らっきょう」は、調味料には頼らず、塩のみというストロングスタイル。お米そのものの味を楽しむなら塩むすび。天ぷらだって塩が美味しい。らっきょうそのものと向き合うならば。「塩らっきょう」というわけです。
らっきょうの漬け方には「簡単漬け」と「本漬け」があります。
塩漬けをせずに甘酢などの調味料に直接漬ける方法を「簡単漬け」と言い、家庭での一般的な漬け方とされています。簡単で割とすぐ食べられる作り方なので、私も過去にやったことがあります。甘酢らっきょう漬けの場合、酢の抗菌作用により乳酸菌などの微生物が生育できません。このように微生物が関与しない漬物は「無発酵漬物」となります。
一方で「本漬け」は、主となる調味料に漬ける前に、塩に漬け込む「下漬け」をする作り方です。野菜を塩漬けにすると、余分な水分が抜けて味が染み込みやすくなります。また塩の効果で発酵が促され乳酸発酵するため、うま味や酸味が増すのです。また、乳酸が増えると酸性になり、腐敗に繋がる雑菌を死滅させるため、保存性が高まります。
ちなみに、塩らっきょうは白菜漬けやしば漬けと同じ乳酸由来の「発酵漬物」に分類されます。
ということで、発酵させる「本漬け」の塩らっきょうを作ることに。また、途中で飽きたら他の調味料に漬け替えしてアレンジや味変できるところもポイントです。らっきょうがどんな姿に変化するのか、楽しみです!
アリシンの天然元気パワー
らっきょうには、タマネギやニンニクと同じ香り成分の素になる硫化アリル(通称アリシン)が含まれています。アリシンは「疲労回復のビタミン」と言われるビタミンB1の吸収を高める働きがあるので、一緒に摂取すると疲労回復効果を持続させることができます。
最近、疲れるとやたらとサプリメントに頼ってしまう私。どうせだったら自然のもので元気になりたい。「カモン天然元気パワー!」と静かに雄叫びを上げつつ、準備に取り掛かります。