野菜だし「ベジブロス」は栄養たっぷり! 基本の作り方と活用レシピ
べジブロスって知っていますか? 野菜の皮やヘタを使った、だしのことを言います。野菜を丸ごと使うので、フードロスにも繋がるし、手軽に野菜の栄養を取れる! と、注目されています。今回は、ベジブロスの基本的な取り方や活用レシピをご紹介します。
知ってた?野菜くずで美味しいだしが取れるんです
ニンジンのヘタ、タマネギの皮や芯、セロリの葉、ダイコンの皮など、毎日の料理の際に必ず出てしまう野菜のくず。毎回「捨てるはもったいないなぁ」と思いつつ、結局処分することに……。
ん? ちょっと待った! 調べてみると、野菜の皮やヘタを使ってだしを取ることができるみたい。その名も「ベジブロス」。英語のVeggie(野菜)とBroth(出汁)を掛け合わせた造語だそうです。
実はベジブロスって結構簡単に出来ちゃいます。野菜のくずと水を入れてお鍋でコトコト煮込むだけ。野菜を無駄なく使い切るのはフードロスにも繋がりますし、手軽に野菜の栄養を丸ごと取れるのもうれしい。地球にも体にも良いこと尽くし!
ということで、今回はベジブロスの基本的な取り方や活用レシピをご紹介します。
野菜のくずだけで本当に美味しいの?
ベジブロスは、基本的に野菜だけで作ります。野菜の甘味や風味が染み出した、まろやかな味わいが特徴です。美味しくする秘訣は、弱火でじっくり煮込むこと。それだけで立派なだしとなります。
日本の煮干し・昆布・カツオだしや西洋のブイヨンとは異なり、動物性食材を使わないので動物性食材を食べられない人にも安心です。魚や肉と比べると味のパンチ力はありませんが、野菜の滋味深い味わいに感動しますよ。この優しい味わいは、和洋折衷どんな料理にも使いやすく、いつもの料理にも使えて便利です。
例えば、カレーやシチューなどの煮込み料理に使うと、うま味成分の相乗効果で味に深みが出ます。自分で作るから無添加なのも良いですね。
ベジブロスのうれしい栄養「フィトケミカル」
ベジブロスの原料となる野菜の皮や芯、根っこには植物の中に含まれる栄養素「フィトケミカル(ファイトケミカル)」と呼ばれる栄養素が豊富に含まれています。炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの「5大栄養素」、「第6の栄養素」の食物繊維に加えて、「第7の栄養素」とも呼ばれています。
ゆっくり煮込むことで、フィトケミカルがスープに溶け出します。フィトケミカルは、強い抗酸化作用による活性酸素の抑制、免疫力の増強、生活習慣病や老化の防止など、健康維持に繋がる機能を持っています。
ベジブロスを作る前に知っておきたいポイント4つ
では、ベジブロスを作る際のポイントをご紹介します。
ポイント①|野菜は使う前によく洗う
ベジブロスを作る前に、野菜や果物を切るときには必ず水洗いし、土や汚れを落としてから使います。きのこなどは湿らせた布巾で拭き取りましょう。
洗っただけでは落ちにくい農薬が使われている場合もあるので、可能であれば無農薬や有機(オーガニック)の野菜を選ぶと良いでしょう。
ポイント②|向いている野菜
基本的にどんな野菜や果物でも大丈夫です。特にタマネギ・ニンジン・ブロッコリー・キャベツ・リンゴ・カブ・ビーツ・トマト・セロリ・カボチャ・キノコはベジブロスに向いています。うま味成分であるアミノ酸のグルタミン酸の多いトマトや、グアニル酸の多いシイタケなどのキノコはおすすめです。
5種類以上そろえると味に深みが出て、色んな料理に合います。野菜くずが足りない時は、干しシイタケ・だし昆布・ローリエ・黒コショウなどの、出汁や香りの出るものを加えるのも良いでしょう。
ポイント③|向いてない野菜
一般的に、味やアクの強い野菜、香りが強い野菜は向いていません。キャベツの芯・ブロッコリーの芯・カリフラワーの芯・菜の花・山菜などです。
例えば、苦い野菜(ゴーヤ・春菊・キュウリなど)、アクが出る野菜(キャベツの芯・カリフラワー・カボチャの種・ブロッコリーの芯など)。これらも使っても問題はありませんが、味や風味に影響が出ることがあります。
ポイント④|作ったべジブロスは冷凍保存もOK!
べジブロスの保存期間は、密閉容器や食品保存容器に入れた上で、冷蔵庫で3日ほど、冷凍庫で1ヶ月ほどが目安です。おすすめは、製氷機で凍らせ、小分けにしてジップロックに保存する方法です。必要な時に少量ずつ使えて便利ですよ。
基本の作り方
それでは、ベジブロスの作り方を紹介します。
「皆さんがよく作る」かつ「野菜くずが大量に出る」料理の代表格にカレーがあると思います。今回はカレー作りで余った野菜くずを使い、ベジブロスを作ってみます。
■材料
※出来上がり量約1ℓのベジブロスを作る場合
・野菜の皮や切れ端・種など
(タマネギ、ニンジン、トマト・ジャガイモ・ニンニク・ショウガ)
・水 5リットル
■作り方
①鍋に野菜の皮・切れ端と水を入れます。
②弱〜中火でコトコト煮込みます。(約30分)強火でグラグラすると野菜の細胞が破壊されて栄養分が逃げ、エグ味の強いベジブロスになってしまうので注意しましょう。
③十分に出汁が出たら、ザルで漉します。
④完成! 粗熱を取ってから容器に入れ、冷蔵庫に入れて保存しましょう。
仕上がりはこんな感じ。タマネギの皮の茶色がしっかり出ています。味見をしてみましょう。野菜の甘味と香りが混ざり合った、やさしい味の野菜出汁がしっかり出ています。使う野菜の組み合わせや量で、味が変化しするので、そこも楽しめるポイントです。
では、このベジブロスを使って料理をしてみましょう♡
ベジブロスの活用レシピ3選
豆腐の味噌汁
【材料】2人分
・ベジブロス:1カップ
・豆腐(さいの目):100g
・味噌:適量
・小ネギ(小口切り):適宜
まずは、毎日の食卓に欠かせない味噌汁を作ってみました。
ベジブロスに豆腐を入れて温め、味噌を溶いたら出来上がり。ベジブロスの味をダイレクトに楽しめます。普通の出汁に比べて、あっさりとしたやさしい味の味噌汁になります。豚汁に感じる野菜の甘味のイメージです。栄養を丸ごといただけるのもうれしいですね。朝に飲みたい一杯です。
きつねうどん
【材料】2人分茹でうどん:2玉
・油揚げ(半分に切る):2枚
□きつねの煮汁
・べジブロス:1カップ
・キビ砂糖:大さじ2
・醤油:大さじ1と1/2
・みりん:大さじ1
・酒:大さじ1
□おつゆ
・ベジブロス:2カップ
・醤油:大さじ2
・みりん:大さじ1・1/2
・キビ砂糖:小さじ1/2
・小ネギ(小口切り):適宜
・七味唐辛子:適宜
ベジブロスできつねうどん!
きつねを煮るときとおつゆの出汁にベジブロスを使います。おつゆでうどんを温めたところに煮含めた油揚げをのせるだけ。
きつねうどんは、出汁が肝心だと思っていたから、物足りないかも? と思ったら美味しくてビックリ! 野菜の甘みと醤油味がよく合います。
少し薄く感じる方は、出汁昆布を足してもOKです。 汁まで飲み干したくなるやさしいきつねうどんです。
豆乳と白みそ仕立てのポルチーニリゾット
【材料】2人分
・乾燥ポルチーニ(戻した後みじん切り):5g
・ぬるま湯(戻す用):1/4カップ
・タマネギ(みじん切り):1/4コ
・ニンニク(みじん切り):大1粒
・オリーブ油:大さじ1
・無洗米:1/2合
・白ワイン:大さじ2
・ベジブロス:2カップ
・豆乳:100ml
・白みそ:大さじ1
・塩・コショウ適量
・イタリアンパセリ(みじん切り):適宜
ポルチーニ、ニンニク、タマネギを炒めてしんなりしたら米を温まるまで炒めて、白ワインを加え、アルコールを飛ばします。温めたベジブロスを入れて15分程コトコト煮込みます。仕上げにチーズの代わりに豆乳と白みそでコクを付けました。豆乳のまろやかさの中に香味野菜の風味が効いた仕上がりに。
ブイヨンの代わりに使ったベジブロスは洋風の料理にも合いますね。個人的には、今回作った料理の中で一番相性が良いと感じました。
身体にも地球にもうれしいべジブロス
いかがでしたでしょうか?
ベジブロスは料理のおいしさを引き立てる「野菜だし」ということがわかりました。
誰でも手軽に作れ、身体にも地球にもうれしいメリットを持ち合わせています。野菜くずがたくさん出た日にやってみてはいかがでしょうか?
※ベジブロスを作った後の野菜の皮や種を使い終わったら、乾燥させてゴミの量をなるべく少なくすると良いでしょう。カラカラに乾かした所、こんな感じに小さくなりました!