たくあんを漬けてみた!おうちで簡単に漬ける3つの方法【とにかく漬ける山崎】

weeeat!編集部のレシピ開発担当、栄養士で発酵マイスターの山崎が、とにかく何かを漬けてみるシリーズ。第4弾では定番の漬物「たくあん漬」に挑戦します! なんとなく難しそうなイメージがありますが、実はおうちでも簡単に作れるんです。
今回は、フリーザーバッグで手軽に作る方法をご紹介します。「干してから糠漬けにする方法」「塩漬けしてから調味液に漬ける方法」「調味液に漬けるだけの方法」の3つの作り方で作ってみました。
手作りするから無添加!
とある『weeeat!』の企画会議。今日も上司がご機嫌だ。
「冬野菜が美味しい季節だね。そろそろ山崎さん、漬けたくなってるんじゃないの?」
「冬野菜のお漬物、いいですね! 祖母の家では、この時期になるとたくあんを漬けますよ」
「お、たくあんか。良い! とても良い! 知ってる? たくあんって沢庵和尚が作ったから『たくあん』なんだよ。三代将軍家光が……」
あ、ヤバい。また歴史スイッチを押してしまった。この人、歴史が大好きだからこうなったら止まらないんだよな……。面倒くさい。話を終えよう。
「あ、そうなんですか! じゃあ今回はたくあんにしましょう!」
ということで今回は、旬の大根でたくあんを漬けてみることにしました。
市販のたくあんって保存料や着色料などの添加物や化学調味料が入っているものがあるけど、手作りなら無添加で素材そのものの味を楽しめますね。
そういえば、たくあんって結構におうんだよな。
大丈夫かな。らっきょうの時みたいにならないと良いけど……。
まぁいっか。とりあえず漬けてみよう!
沢庵和尚が作ったから「たくあん」
漬ける前に、まずは「たくあん」の歴史について調べてみました。
日本発祥の大根の漬物の一種で、「沢庵漬(たくあんづけ)」「たくあん」「たくわん」と呼ばれています。
たくあんの発祥には諸説があります。有名なのは、江戸時代の禅僧、沢庵(たくあん)和尚の名前からとったという説です。幕府と朝廷の対立から起きた「紫衣事件」で幕府に抗議をした沢庵和尚は、出羽国上山(現山形県上山市)に流刑となります。
上山での暮らしの中で、地元の人々から様々な作物が届けられました。その中にあった大量の大根を保存食の「たくわえ漬」にしたのが、たくわん漬の始まりとされています。
その後、罪が許された沢庵和尚は江戸の品川に東海寺を開山します。ある日、三代将軍の徳川家光がお寺を訪れた際、和尚が漬けた「たくわえ漬」をとても気に入ったそうです。そして「たくわえ漬」ではなく「沢庵漬」と名付けて世に広めたという逸話があります。
なぜたくあんは黄色いのか?
昔ながらのたくあんは、樽の中で干した大根を糠や塩などの調味料を交互に重ねて、重石を乗せて水分を抜きながら漬けていきます。乳酸発酵により日持ちがするようになり、独特の風味が得られます。においは皆さんご存知のあのにおい。家で漬けるとキッチンがたくあんの香りで包まれます(笑)。でも、味は格別!
また、たくあんというと黄色い見た目を想像する方も多いと思います。本来のたくあんは、辛み成分が発酵過程で変化して黄色くなります。発酵期間が長いほど黄色が濃くなるそうです。市販のものは、ウコン・クチナシなどの天然色素で色付けされているものが多いです。
たくあんを漬ける3つの方法
そんな由緒あるたくあん。ほら、漬けてみたくなってきたでしょ?
今回は、ご家庭でもチャレンジしやすいように、大根1本とフリーザーバッグでできるレシピを考えました。「干してから糠漬けにする方法」「塩漬けしてから調味液に漬ける方法」「調味液に漬けるだけの方法」の3つの方法で漬けて、味を比較してみます。
どれも簡単に漬けられますが、使う材料や味や食感などが異なるのでお好みのレシピを見つけてください。初めての方でも分かりやすく解説していきますね。
それではさっそく漬けていきましょう!
その1|干して糠漬けスタイル「ポリポリたくあん」
【材料】
大根:1本800g〜1㎏
調味料
米糠:300g
塩:30g
砂糖:20g
干した柿やリンゴの皮:適宜
出汁昆布:1枚(あれば刻む)
唐辛子:1本
トップバッターは、米糠を使ったたくあん。干してから糠漬けにする、本格的な作り方です。
専用の漬物樽がなくてもフリーザーバッグで簡単に漬けられるようにしました。
まず、大根を干します。麻の紐で大根をくくり付け、物干し竿等に1~2週間ほど吊り下げます。吊るされたダイコンが何ともかわいい(笑)。
日に日にしなびていきます。曲げた時、つの字に曲がるようになればOKです。この干し具合によって歯触りが変わってきます。Uの字くらいに曲がるまで干すと、かなり固めのポリポリ食感になりますので、お好みの干し具合を見つけてください。
ボウルで米糠と調味料を混ぜ合わせて、干した大根と一緒に袋に入れます。袋の上に重しを乗せて、常温で1週間ほど置いたら完成です。重しはかなりの重量が必要です。軽いと水分が上がってきません。キッチンスタジオにあった一番重いものが、箱買いしたお酒でした(笑)。
徐々に袋の中で水が上がってきます。1日1回揉んで大根が糠で隠れるようにしましょう。干す時間を長めにとった場合は、大根の水分があまり出てこないので、よく揉むと水分が馴染みます。
出来上がったら、冷蔵庫で保存します。食べる時は、必要な分だけ取り出して糠を水で洗ってから切ります。
干すことで大根の味が凝縮し、ポリポリとたくあんらしい食感になります。糠漬けの風味と塩味がしっかりついていて美味しい。これぞ王道! オーセンティックなTheたくあん!
簡単だけど、一番昔ながらのたくあんの味に近い仕上がりになります。是非、ご飯を炊いて待っててください(笑)。
その2|オーソドックスな塩漬けスタイル「パリパリたくあん」
2つ目は、塩漬けしてから調味液に漬けるやり方。
家庭で漬ける方法としては、これが一般的みたいです。袋に塩水と大根を入れて冷蔵庫で3日ほど漬け込みます。くの字に曲がるようになったら、一度、表面の塩水を洗い流します。
袋の中も一緒に洗い、キッチンペーパーでよく水気を拭いておきます。大根を袋に戻し入れ、合わせた甘酢を入れて、冷蔵庫で3日ほど本漬けしたら完成!
塩漬けしたものを一度洗う手間はあるものの、作業は比較的簡単ですね。 パリパリとした歯触りがたくあんらしい。
漬けた直後だと、浅漬けらしい大根のみずみずしさや甘みや辛みが残ります。時間が経つと徐々に味が馴染んでより美味しくなります。水分も抜けてよりパリパリ食感に。漬け具合による味と食感の変化が楽しいですね。
その3|漬けるだけの簡単スタイル「甘口たくあん」
【材料】
大根:1本800g〜1㎏(半割にする)
調味料
キビ砂糖:200g
塩:30g
米酢:80ml
3つ目は、甘酢に漬けるだけの超簡単レシピです。
混ぜ合わせた調味料と大根を袋に入れて冷蔵庫に入れるだけ。砂糖が溶けづらいので、袋に入れたらよく揉んで溶かしていきます。完全に溶けなくても馴染んでいればOKです。
いわゆる「糖しぼり大根」と同じ作り方です。多めに砂糖を入れるのが美味しく漬けるポイントです。砂糖の浸透圧によって大根の水分が抜けて、うま味が凝縮し、ポリポリっとした食感になります。砂糖が馴染んで大根がしんなりしたら食べ頃です。漬けたら3日程で食べられます。
やさしい甘みが後を引いて、箸が止まらない。白いご飯にベストマッチ♪ お酒にも合う味です。
キビ砂糖を使うとコクがあって美味しいのですが、なければお家にある砂糖で作ってみてください。柚子の皮や鷹の爪を入れて漬けても美味しいですよ!
みんなで食べ比べてみた
出来上がったたくあんを編集部のみんなで試食したところ、簡単な「甘口たくあん」が一番人気でした。本格的な「ポリポリたくあん」の香りや食感も後を引きます。オーソドックスな「パリパリたくあん」の大根らしい味わいも捨てがたい。なので、みんな優勝です!(笑)
今回はそのまま食べましたが、細かく刻んで炒飯に入れたり、納豆やマヨネーズに和えても美味しいですよ。
冷蔵庫に保存する時は、水分の漏れとにおいが広がるのを防ぐため、袋を2~3重することをおススメします。それでも多少はにおうので、冷蔵庫がたくあんの世界に包まれます(笑)。
というわけで、「とにかく漬ける山崎」シリーズ第4弾では、たくあんを漬けてみました。
普段何気なく食べているたくあんも、自分で漬けると思い入れもひとしお。
どれも手軽に作ることが出来ますので、ぜひ作ってみてくださいね。
はぁ、漬ければ漬けるほど、漬けたい気持ちは高まるばかり! 次は何を漬けようかな……。
これからも漬物や発酵の魅力を『weeeat!』で発信していきたいと思います。
次回もお楽しみに!
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