ザワークラウトを漬けてみた!失敗しない基本の作り方&簡単即席レシピをご紹介【とにかく漬ける山崎】
weeeat!編集部のレシピ開発担当、栄養士で発酵マイスターの山崎が、とにかく何かを漬けてみるシリーズ。第5弾ではザワークラウトに挑戦してみました。
ドイツ料理の酸っぱいキャベツでお馴染みのザワークラウト。この酸味は、お酢を加えた訳ではなく、本来はキャベツを乳酸発酵させることで生まれるんです。そんなザワークラウトには乳酸菌がたっぷり! もともとキャベツは食物繊維も豊富だから、腸活にピッタリな食べ物。そんなキャベツを発酵させると日持ちがぐんと伸びて栄養も補給できる。とっても賢い食べ方なんです(キリッ)。
今回はそんなザワークラウトの魅力を徹底解剖! 腸活効果から本格ザワークラウトの作り方やすぐに試せる即席レシピまで詳しくご紹介します!
野菜高騰の今だからこそ!ザワークラウトのススメ
最近、物価高で野菜の値段も高騰気味ですね。特にニュースで高騰が取りざたされていた「キャベツ」。つい最近まで1玉500円の高級野菜化していた時は驚きました!
近頃やっと値段も落ちついてきたと思っていたら、気づけば春キャベツが出回る季節となりました。春キャベツは巻きがゆるく、水分が多くてみずみずしいのが特徴です。
葉が柔らかくて甘味があるから、生のままサラダや軽く塩でもんで浅漬けにするだけでも美味しいですよね。
新鮮な春キャベツが手に入ったらぜひ作って欲しいのが「ザワークラウト」。ドイツ料理でソーセージに添えられているアレです。実は、キャベツと塩で作るシンプルな発酵食品。春キャベツで作ると甘味のあるやさしい味わいになるのでオススメなんですよ。
ジップロックなどを使えば少量のキャベツでも作れるし、発酵食品だから保存が効いて、保存状態が良ければ半年~1年程長く楽しめます。
また、キャベツにはうれしい腸活作用もあります。気になる栄養価や腸活については、また後程詳しくご紹介しますね♪
古代中国からドイツの食卓まで、驚きのルーツを辿る旅!
ビール片手にソーセージ。そして添えられたザワークラウト。まさにドイツの食卓の風景! でも実は、意外なことにその起源は古代中国にあるんです。時は紀元前240年頃、万里の長城建設に従事していた労働者たちの食料として、キャベツをお酒で漬けたのが始まりと言われています。
その後、この発酵キャベツはタタール人によってヨーロッパに伝えられ、特にドイツで大人気に! ドイツ語で「Sauerkraut(ザワークラウト)」は「酸っぱいキャベツ」という意味。まさにその名の通り、乳酸発酵によって生まれる独特の酸味が、ドイツの人々の心を掴んだんですね。
壊血病予防に効果的なザワークラウトは、船乗りたちの貴重な栄養源でもありました。大航海時代、船乗りたちがザワークラウトを携えて大海原を駆け巡り、世界中に広めていった――。そんなロマンあふれる歴史を想像してみるのも面白いですよね。
今ではドイツはもちろんのこと、ヨーロッパ各地、そしてアメリカなど世界中で愛されているザワークラウト。古代中国から始まったその長い旅路を知ると、一口食べるごとに歴史の重みを感じられるかもしれません。
腸活にピッタリ!
キャベツは食物繊維が豊富なため腸活に最適な野菜です。さらにビタミンCやビタミンU(キャベジン)、カリウム、葉酸など体にうれしい栄養素がたっぷり含まれています。1日に必要な野菜の摂取量は350gが目安とされていますが、これを生の野菜で補おうとすると非常に多くの野菜を食べなければならないので大変ですよね。
ザワークラウトは、キャベツを塩に漬けることでしんなりします。かさが減りますし、程よい酸味でたくさん食べることができます。しかもザワークラウトにすることでキャベツが持つ栄養素に加え、発酵することで栄養価が増しているのもうれしいポイントです。
また、ザワークラウトにはヨーグルトやキムチと同じくらいたっぷりの植物性乳酸菌が含まれています。植物性の乳酸菌は、動物性の乳酸菌よりも腸内に届きやすく、善玉菌を増やして腸内環境を整えるので、整腸作用が期待できます。
春は、朝晩の寒暖差や生活環境の変化も大きいため体調を崩しやすい季節です。そんな時こそザワークラウト! キャベツの豊富な栄養素と乳酸菌を、お漬物感覚でモリモリ食べちゃいましょう。
瓶で作る!本格ザワークラウトの作り方
今回はキャベツ1個分を使って、保存瓶で作るレシピをご紹介します。
□材料
瓶:1瓶(1ℓ容量)
キャベツ:1玉(約1kg)
塩:15g~20g(キャベツの重さの1.5~2%)
タカノツメ:1本
スパイス(なくてもOK)
キャラウェイシード:小さじ1/2
黒胡椒:10粒
ローリエ:1枚
カルダモン:5粒
①調理器具をしっかり消毒する
ボウルやまな板等の器具は熱湯をかけて殺菌し、保存瓶は煮沸します。しっかり乾いた後、アルコール消毒します。
②キャベツを切る
まず、硬い外葉だけはがします。大体2枚くらいです。
キャベツの乳酸菌は葉についています。そのため、洗ってしまうと乳酸発酵ができず、雑菌が繁殖してしまいます。土などがついてなければ、洗わずに使用しましょう。
半分にカットします。
まな板にぺたんと寝かせて、2~3㎜の千切りにします。
芯の部分は薄切りにしてから、マッチ棒くらいの太さに千切りします。
③塩を計量
キャベツに対して塩1.5~2%の塩分濃度にします。寒い季節は発酵が進みにくいので、塩分濃度は低めに。暑い季節は塩分濃度を高めにします。今回は寒い時期だったので、少なめの1.5%(1キロ×0.15%=15g)で作りました。
ビニール袋を2つに分けて(500g×2)塩もみするため、7.5gずつ計量しました。
④スパイスを計量
スパイスが入ることでキャベツの青くささがなくなって、食べやすくなります。
防腐効果を高めるために、種を除いたタカノツメも入れるのがオススメです。今回は、キャラウェイシード・黒胡椒・ローリエ・カルダモンも入れてみました。キャラウェイシードを加えると独特な柑橘っぽい爽やかな香りで本格的!
⑤塩もみする
ビニール袋の中で塩もみをすると簡単です。キャベツ1個だと量が多いため、半分に分けて、2回塩もみします(キャベツ500g・塩7.5gずつ)。
振り振りシェイク♪ 袋の上からもみもみ……。しんなりするまで20分位おきます。
こんな感じに、かさが減ってぺったんこになりました。そうしたら、1つの袋にまとめます。そこにローリエ以外のスパイスを入れて混ぜ合わせます(ローリエは割れてしまうので、瓶詰した後に上に乗せてください)。
⑥瓶に詰める
手でしっかり押し込みながら、保存瓶に詰めます。
手にビニールをはめてグーパンチするようにギューッと押し込みます。
押すことで空気が抜けてキャベツの水分が上がってきます。
間に空気を入れないようにするのがポイント!
全部入ったら、清潔なラップをかぶせて空気が入らないようにします。
蓋をして日の当たらない場所で常温発酵させます。夏場など室温が高い場合は3〜4日、寒い時期は5〜7日で発酵してきます。発酵によってブクブクと炭酸ガスが出来てきます。また、塩分によって水が上がってきます。必ず1日に1回は蓋を開けて、炭酸ガスを逃がしてください。それでも溢れることがあるので、瓶をトレーに乗せると良いでしょう。空気に触れると痛む原因になるので、しっかり水分に浸かっていることを確認しましょう。
発酵するとしょっぱいだけでなく、酸味が感じられるようになります。酸味が出てきたら冷蔵庫で保存しましょう。冷蔵庫に入れてもゆるやかに発酵が進みます。浅漬かりの時は、キャベツのフレッシュ感があります。2ヵ月程すると、ザワークラウトらしい酸味の強い味になりますよ。
悲しい失敗談
以前、ザワークラウトを作った時に失敗したことがあります。キャベツの色が白っぽくならず、瓶を空けてみたら、雑巾のようなにおいが……。せっかく作ったのに(泣)。
こんな思いを皆さんにはして欲しくないので、失敗する原因として考えられることをまとめてみました!
ポイントは2つあります。1つ目は「雑菌を入れないこと」。2つ目は「乳酸菌が元気な状態を作ること」です。
失敗しないコツ① 雑菌を入れないこと
最も大切なのは、発酵中に乳酸菌とともに繁殖してしまう雑菌に気を付けることです。
菌は“椅子取りゲーム”と同じで、何かの菌が先に繁殖すると、他の菌が入りにくくなってしまいます。乳酸菌の繁殖より先に雑菌が繁殖してしまうと乳酸発酵が進まず、腐ってしまいます。
まずは、包丁やまな板などの調理器具を熱湯やアルコールで消毒しましょう。消毒が面倒な場合、容器がない場合、少量を作る場合は、ジップロックなどの厚めの保存袋を使用するのをオススメします。
また、瓶の中でキャベツが空気に触れている状態も良くありません。空気の中は雑菌がいっぱい。発酵が始まった時に炭酸ガスが発生し、瓶から水分が溢れてしまうことがあります。すると、空気にキャベツが触れてしまい、雑菌が繁殖します。
万が一水分が溢れてしまったら、作った時の塩分濃度の塩水を足しましょう。常にキャベツが水分に浸っている状態を保つようにしてください。
失敗しないコツ② 乳酸菌が元気な状態を作ること
ザワークラウトは、キャベツの葉の表面についた乳酸菌の働きによって発酵が進みます。そのため、キャベツの表面にある乳酸菌を洗い流してしまうと乳酸菌発酵が十分に行われず、雑菌が“椅子取りゲーム”に勝ってしまいます。
また、塩を入れすぎると、塩の殺菌作用により乳酸発酵が抑えられてしまいます。塩の分量はしっかり計量するようにしましょう。
即席ザワークラウトもオススメ!
続いては、美味しくて簡単な即席ザワークラウトレシピをご紹介します。
本格的なザワークラウトは発酵に数日掛かりますが、「今すぐ美味しいザワークラウトを食べたい!」という方や、「手軽に作れるレシピが欲しい!」という方にオススメです。
1つは、保存袋で作る「浅漬け風ザワークラウト」。もう1つは、タマネギと炒めて作る「炒めザワークラウト」。どちらもあっという間に完成するので、作ったその日に食べられます。冷蔵庫で3~4日は持つので、常備菜にピッタリです!
その1|浅漬け風ザワークラウト
「ザワークラウトを食べたいけど、作る時間がない……」そんなあなたに朗報です!
塩もみキャベツに、酢とキャラウェイシードを加えるだけで、あっという間に即席ザワークラウトができちゃうんです。
キャラウェイシードの香りが、まるで本格的なザワークラウトみたい! お肉料理の付け合わせにしたり、いつものサラダにプラスしたり、色々な楽しみ方ができますよ。
【材料】作りやすい分量
キャベツ:400g
塩:12g(3%)
リンゴ酢:大さじ2
キャラウェイシード:小さじ1/2
【作り方】
①キャベツを切る
②塩もみする
塩を入れて、袋の上から揉んだら、置いておきます。15分程立つと全体がしんなりします。
③キャベツの塩気を切る
味が薄まらないようにしっかり水分を絞ります。絞るとこんなに水分が出てきます。
④リンゴ酢とキャラウェイシードを入れて混ぜる
あっという間に出来上がり! 漬けたそばから食べられます。リンゴ酢を使ったから、フルーティーな酸味でパクパクいけちゃう。キャラウェイシードが良い仕事していて、まるで本場の味!
その2|簡単!炒めザワークラウト
フライパンでサッと炒めるだけで、あっという間に出来上がるザワークラウトです。
炒めることで油のコクがプラスされ、タマネギを入れることで甘みが加わり、とても食べ応えがあります。酸っぱいのが苦手な方でも、美味しく食べられますよ。
熱々のキャベツと生のキャベツを混ぜると、しんなりするので、すぐに食べられます。
【材料】作りやすい分量
キャベツ:400g
タマネギ:1個
キャラウェイシード:小さじ1
米油:大さじ3
調味料
甜菜糖:大さじ3
塩:小さじ1
胡椒:少々
リンゴ酢:80ml
ローリエ:1枚
【作り方】
①キャベツとタマネギを千切りにする
キャベツの芯も千切りにします。
②調味料を合わせる
甜菜糖をよく溶かしておきましょう。フライパンでキャラウェイシードと油を加熱する
③フライパンでキャラウェイシードと油を加熱する
弱火にかけてキャラウェイシードの香りが立ってくればOK!
④キャベツの半量を炒める
油が回ってしんなりするまで炒めましょう。
⑤調味料を入れる
調味料が全体にいきわたるように混ぜます。
⑥残りの野菜を加えて軽く混ぜる
残りのキャベツとタマネギをイン! すぐに火を止めると、ちょうど良いシャキシャキ感が残ります。
⑦ボウルに取り出して冷ます
上からも味がなじむように落としラップし、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存しましょう。
味がなじんだら出来上がり! 野菜炒めのような香ばしさと、お酢のさわやかさが絶妙にマッチ◎ パクパク止まらない美味しさです♪
紫キャベツで作るのもオススメです。食卓が華やかになること間違いなしですよ!
いかがでしたか?
ザワークラウトって「ソーセージのお供」ってイメージが強かったのですが、意外と万能選手なんです。箸休めやおつまみとしてはもちろん、あと一品欲しい時にも重宝します。冷蔵庫に常備しておけば、様々な場面で活躍してくれます。
ソーセージなどの肉料理の付け合わせ以外にも、サンドイッチ、サラダ、パスタなどのアレンジレシピで楽しめます。色々なレシピに挑戦して、お好みのザワークラウトを見つけてみてくださいね。
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